先日、娘の高校で行われる
短期ホームステイの説明会に行ってきました。

希望者向けの会で、
少し大きめの教室に親子連れがほぼ埋まるくらいの人数。
ざわつきすぎることもなく、
静かな空気の中で始まりました。
その説明会の冒頭で、
校長先生がこんなことをおっしゃいました。
「たった2週間でも、
行く前と帰ってきた後では、
生徒たちの表情が本当に変わります。」
その言葉を聞いた瞬間、
30年以上前の自分を思い出しました。
中学2年生だった私は、
田舎の小さな町で、
少し息苦しさを抱えながら毎日を過ごしていました。
私の母校の中学は、1クラス10人ほど。
全校生徒でも30人台の小さな学校でした。
友達がいなかったわけではないけれど、
どこか自分の居場所が狭いような気がしていた頃です。
そんな中、思い切って参加した
2週間のアメリカホームステイ。
応募用紙をどきどきしながら持ち帰り、
台所に立っていた母に見せて相談すると、
「お父さんが働いて家族を養ってくれているのだから、
お父さんに聞きなさい」
と言われ…
そして、仕事から帰宅した無口な父に、
勇気を出してお願いしたところ、
思いがけず「行ってこい」と
快く送り出してくれたことを
今でも鮮明に覚えています。
英語は好きだったけれど、
まだ中学2年生の語学力。
田舎の中学生だった私には、
不安の方がずっと大きかったと思います。
当時、ホームステイ中に頼りになるツールは、
筆記用具と
コンパクト版の和英・英和辞典だけでした。
懐かしいです。
同行した仲間も
それぞれ別のホストファミリーに滞在するので、
日本人は私ひとりきりでした。
それでも、あの2週間は
私の人生の財産になりました。
ホストファミリーと過ごした時間。
バディと女子トークに花を咲かせた夜。
ダンスパーティ。
そして、映画『ボディガード』が大ヒットした直後のアメリカで、
黄色いスクールバスに乗っていた
小学生から中学生くらいまでの子たちが、
ラジオから流れる
ホイットニー・ヒューストンの
「I Will Always Love You」を
一斉になりきって歌い出したこと。
あのにぎやかで自由な空気まで、
今もはっきり覚えています。
本当に充実した時間で、
今では宝石のように輝く思い出です。
今思えば、世界の広さと、
可能性の無限さを知った時間だったのかもしれません。
帰国してしばらく経ったころ、
母から「顔つきが変わったね」と
言われたことがあります。
どこか力強く、
生き生きとしている、と。
校長先生の話を聞きながら、
30年以上前のそんな出来事をふと思い出したのでした。
そして長い月日が経って、この春。
ホームステイの説明会に、
娘と並んで座っている。

お金のことを考えれば、
簡単な話ではありません。
娘が乗り気でないのなら、
たとえ貴重な経験と分かっていても
無理に勧めるつもりもありませんでした。
でも説明会の終了後、
娘は「行きたい」と言いました。
その一言を聞いて、
できる限り背中を押してあげたいと
心から思いました。
これから夏にかけ、
2年生も合わせての選考会が始まります。
決して優しい道ではないと思いますが、
いい結果になるといいな。
まるで、目に見えないバトンを渡しているようで
少し不思議な気持ちです。
人はたった2週間でも、
変わることがある。
それを私は、自分の人生で知っています。
校長先生の話を聞きながら、
30年前の中学2年生だった私を思い出し、
少し涙ぐんでしまいました。
娘の隣に座っている今の私と、
あの日の私。
昨日はそのふたりが、
同じ教室にいた気がしました。
人生は、
思いがけない形でつながっていくものですね。
今回の説明会でそんな不思議な縁を、
しみじみ感じました。
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